
硫黄泉 (冷鉱泉)
千葉県安房郡富山町高崎584
男女別内湯
0470-57-2836
日帰り : 700円
右手に海を見ながら、国道127号線を南下。JR内房線の岩井駅付近で右折し県道に入り、そのまま暫く進むと、小さな看板で「岩婦温泉郷」の看板が見えて来ます。
その看板の案内に従い、車のすれ違いがギリギリ出来ない程に細い林道を1キロ程進むと、池と呼んだ方が相応しい程の大きさをした岩婦湖と、そのほとりに2軒の宿があります。
奥にあるのが今回の目的地である「岩婦温泉・岩婦館」です。
温泉郷という言葉から、もう少し多くの旅館が寄り集まっている姿を想像したのですが、どうやら旅館と呼べるものはこの2軒だけでした。
周囲は山に囲まれ、さながら秘湯の雰囲気を良く醸し出しています。
岩婦館の外観はいかにも使い古された感じで、歴史を感じる佇まいです。
引き戸になっている玄関を開けると、出迎えて呉れたのは猫一匹。廊下にあるダルマストーブの前にちょこんと座り、その場を動かずにじっとこちらを見ています。
「すみませーん」と声を掛けると、若女将と思しき、普段着の女性が中から出てきました。
日帰り入浴をお願いし、靴を脱いで中に入る。
猫の名前は桜子ちゃんと言うそうです。私達が近づいても、相変わらずストーブの前から動こうとしません。
入浴前に、しばし猫と戯れる。
ここは旅館というよりも民宿といった雰囲気で、静かで穏やかな時間が流れています。
さて、お風呂は桜子ちゃんがいた廊下のすぐ先にあります。
脱衣所、浴室共に、必要最小限の物だけ用意された、とてもシンプルな造りをしています。
浴室への引き戸を開けると、湯気と共に強い硫黄の臭いが襲ってきて嬉しくなる。

浴槽は岩風呂になっており、かなり小さい。
両側にはカラン計8人分あります。
まずは掛け湯と思い、カランを捻ると、そこから出てきたのは強い硫黄の臭いがする温泉でした。
自然湧出らしいですが、モール泉なのでしょうか。蛇口から出てきたお湯は既に透明感のある黄土色をしていました。
湯船は、1人が脚を伸ばして入ったら次の人のスペースが無くなってしまうであろう程の大きさです。
黄土色したお湯が張られており、湯底は濁っていて見えません。
循環ジャグジーされているらしく、お湯は誰も入っていないのに常に動いていました。
これは、湧出量が1分間に2リットルしかない16度の鉱泉を沸かして使う以上仕方が無い事なので、文句のつけようもありません。

お湯は見た目程には癖が無く、硫黄泉独特のサラサラ感があります。
臭いはお湯が劣化しているせいか、カランの蛇口から出てきた源泉程には強くはありません。
硫黄臭と若干のモール臭と組み合わさり、他とは少し違う個性的な臭いがしています。
湯船にもカランと同じ蛇口があり、ひねると硫黄臭の強い新鮮な源泉が出てきました。
盛大に掛け流しをして入ろうかとも思ったのですが、貴重な鉱泉を無駄に使うべきではないと思いとどまり、ゆっくりチョロチョロと源泉を加えながら入りました。
火山の無い千葉に沸く、不思議な硫黄泉。
鉱泉は一定の成分を満たさなければ温泉になれない分、25度以上というだけで温泉になってしまう温泉以上に温泉らしい事が多々あります。
豪快な掛け流しとはいきませんでしたが、充分に温泉らしさを実感出来る、とても気持ちが良いお湯でした。
岩婦館の手前にあった旅館でも日帰り入浴を行っているみたいです。
今度機会があれば、是非そちらにも立ち寄ってみたいと思いました。
2005-3/6

コメント
ここは2度宿泊したほか、外房・内房で投げ釣りをしたあとの帰路で何度か立寄り湯をしました。「沸かし」「循環」の鉱泉ではありましたがほのかな硫黄臭、なにしろ都心から近い山中の寂れた一軒宿の風情が良かったです。
さて、なんでかなり前に廃業した宿にカキコしてるかというと、今次の「正面玄関」の冒頭写真の「弁天鉱泉」に触れたかったからです。
岩部温泉岩婦館は弁天鉱泉の親戚がやってたのです(無理やり関連付け)。
弁天鉱泉の写真が載ってるのだから当然記事もあるだろうと思い温泉本館を探しましたが記載はありません。同じことが前回の「新潟県白馬蓮華温泉」の「仙気ノ湯」(ここは当方は白馬岳・朝日岳の下山途中で一泊したたいへん交通不便な地)の写真でもありました。
これを鑑むると、Jakeさんの温泉記事は、その記載数を上廻る入湯数があるのだろうと思わされましたので拙文に至った次第です。
>>温泉おじやさん
岩婦館に宿泊されているって凄いですね!
弁天鉱泉のご親族でしたかぁ。
源泉からはしっかり硫黄臭がして良いお湯でしたよね。
岩婦館の他にも岩婦にもう一軒あり、そこにも行きたいと思っているうちに両方廃業してしまいました。
温泉は入れるうちに入っておかないと駄目ですね~・・・
ちなみにTOPの写真は最近入った温泉の写真です。
まだ記事をUPしていないだけで、近いうちに公開する事になると思います。
でもそれとは別に、一時期更新をしていなかった頃に入っている温泉もかなりの数あり、それらは記事に出来ていません。
なので、記事の数よりも入湯数は遥かに多いですよ~
岩婦館の続きです。
もう30年も前になりますか、いつものとおり釣れないシロギス投げ釣りの帰路に寄りました。風呂に入る前に「天せいろ」を頼み、大広間でいただきます。
その大広間は昼間は老人福祉施設状態で、近隣の爺婆が飲食持ち込みで駄弁ってます。
そのときも風呂を出てまずは瓶ビール、蕎麦が出てくるのを待ってると近くにいたバーサン
「あんたらどっから来たの?」と聞いてきました。
「埼玉の〇〇市〜」と答えるといきなり苦情が。
「私らは大貫海岸から来てんだけどね〜、そこにある〇〇市の臨海学校管理人の〇カイ〇ヨシってヤツがトンデモない奴でね〜!」。
いきなり文句言われても?とも思うが実は当方もたまたま仕事の一端でソイツがヒドイ奴だということは聴いて知ってたので(夏に市内小学校が訪れるとき、土産を渡さないと児童に辛く当たる)、「やっぱりそーですか〜、いや、〇〇市内でもアイツが悪い奴だというのは評判なんですよ〜」と、軽く合わせておいたことがありました。
岩婦館、あそこがやってたら、今でもお世話になりたいと思う宿でした。
スミマセン、二重送信になってしまいました。?
>>温泉おじやさん
はい、二重投稿になっていましたので片方は消しておきましたよ~!
岩婦館、そんなに賑わっていた事があるんですね?
私がお邪魔した時はホント誰もいなくて、記事にも書いていますが猫しかいませんでした。
他にお客さん誰もいなくて、女将さんも「あらお客さんなんて珍しい」ってくらいの反応でした。
静かで落ち着けて良いお宿だと言う印象だったんですけど、それは利用者にとっては良い事でも旅館経営を考えたら悪い事なんですよね。
岩婦館に限らず、廃業してしまったお宿は私にとって良いお宿ばかりでした。
うるさくて落ち着けないって言われてしまう程に繁盛していた方がお宿にとっては良いんでしょうね~